風の音を聴く

いつも藤井風さんに癒されてます。思いついたこと書いてます。

「Fujii Kaze : grace 2022 | Documentary」…備忘録📒

 

木の葉の隙間から日の光が差し込み鳥の鳴き声が聞こえる。

土の上に足をつけ畑の中で大きく育ったさつまいもを掘り起こす。きれいな空気を感じる自然のなかで、大きな舞台を終えてリラックスしている風さん。

2022年春からのハードなスケジュール(2ndアルバム「LASA」リリースに伴うラジオ出演、「MUSICA5月号」の長編インタビュー、「藤井風テレビ」、賞をもらって贈呈式に呼ばれたりその後の長いツアー、、いろんなことがあった)、今まで経験したことのないたくさんのことを経験しスタジアムライブを無事成功させたその4日後の様子が冒頭で流された。

「いままでのキャリアを包括するような、総括するような、このままもう引退するんかなっていうぐらいの(笑)そんぐらいの集大成みたいなもんが続いたんで。ほんとでも今までありがとうとでも言いたくなるぐらいの、、。」

いきなり寂しくて不安になるような言葉。でもそれだけ心が揺れながら、戦いながらの半年間だったのかな。

印象に残る言葉、心に刺さる言葉がたくさんあったので少しだけ文字にして残したい。

 

ーー行きたくても行けなかった”alone at home Tour”の一部を観せてくれて嬉しかった。ギターの弾き語り最高だった。

照明を落とした暗いステージ。温かい色のスポットライトが風さんを照らす。リラックスした衣装でギターを持ちソファーに座る。

左手で弦をおさえ右手の親指で弾く。ギターを叩いてリズムを取りつつ上から手のひらで弦をおさえ響きをとめる。心地よいリズム。リズムと和音を同時に奏でる。おだやかなギター。柔らかい声。フェイクもビブラートも丁寧に響く。間合いもテンポも声の強弱も声の出し方も、響く音すべてがやさしくてこの場所が落ち着くおだやかな空間になる。奏でる音と風さんの持つ雰囲気で空気が優しくなる。

 

アカペラ、弾き語り、動き回っていろんな場所で歌って、水をこぼして衣装チェンジ。訪問者の友人とご当地ネタのやりとり、生リクエストの弾き語り、、風さんの日常を見せるように作り込まれたステージが贅沢。可愛くて観てるだけで癒される。

今回の凝った演出、ずっずさんの「お客さんを驚かせて楽しませたい」という考えで動いてたんですね。

風さん「今までと一緒のことをやってもしかたがない。自分がやることに新鮮さを感じていたい。前のままの自分じゃおもしろくない。」

「基本、この人(ずっずさん)の願望を叶えるプロジェクト。最初からそうっすよ。」と遠慮がちにちょっと不満げに宮地さんに伝える風さん。

舞台セットの温かみのある色あいのソファー、色味がレトロな絵画、ひとつひとつの家具や小物、雰囲気が優しくて風さんに合ってて本当に素敵な部屋だった。

 

2022年5月19日ホールツアー初日。神奈川公演(相模女子大学グリーンホール)後、生のライブでファンからのリクエストに応えて弾き語りをするコーナーで上手く仕切れなくて困り、なんとか今後の方向性に折り合いをつけたあと、

「自分がこんなにライブをするようになるとはそもそも思ってなかった。もうほんとに、ライブを一回も見に行ってないの。人のライブっていうものに、ほとんど。お金を払って見に行ったことが一回もない。”生で見たい、生で会いたい。”と思うんすね。好きな人に、好きなアーティストに。その感覚があんまりよく分からん。(笑)ダメっすね。ほんと。何か、、そう、だからなんでライブに来とんでしょう。人は。人はなんでライブに行くんやろうね。」

 

2022年5月26日、27日。東京公演「LINE CUBE SHIBUYA」。2019年11月17日、デビュー前”NAN NAN SHOW”を行った同じ場所でライブをすることについて、

「いや、でも帰ってくる時にまさかこんなスタイルのライブをしてるなんて、、だってあの頃は”弾き語りで自分の曲やるなんて嫌だ”って言ってバンドになったんですから。

だからワシの頭の中でオリジナル曲は、ドラムとかベースとか他のいろんな楽器が鳴っとるから、まずその完成形を聴いてもらいたい。みんなに。だから、弾き語りでやるもんじゃないんだと。

そして3年後帰ってきたら、ほぼ全曲弾き語りで自分のオリジナル曲をやってるって、、。でもこれはもうみんなにね、これだけ知って、曲も聴いてもらえてるっていう背景があるからできることだし、そうなれてるっていうことにすごい感謝してますね。」

 

2022年6月3日、三重公演(三重県文化会館)。

この年の4月、ロサンゼルス滞在時にコーディネーターをつとめてくれたひろきさんの言葉が嬉しかった。”aahT”のライブを観に来て、

「ピアノだけだったら曲の良さがわかる。もっとわかる。もっとピュアな曲みたいに聴こえるのも僕もそれはなんか嬉しいかな。ポテンシャルがいっぱいあるっていうのが、周りのすごい人達がそう言ってるから、みんなが応援して、みんなが何か少しずついろんなことを考えたり、すごいことをセットアップとかできたら、風くんの自分のタレント(才能)でさ、いけるって思うんだよね。」

 

2022年6月13日大阪公演(オリックス劇場)。ドコモのプロジェクトへ向けての曲作りで思うように進まないときのザベスさんからの問いに、

「なかなか降ってこない。ペンが進まないみたいな状況なの。」

「悔しくなるだろうから聴かなかったみたいな曲がいっぱいある。あることに気づいた。それって自分のあまりよくない心の表れやなと思って。なんか勝負って思っちゃってるやんみたいな。比べたがっちゃってるやん。そう、その時点で。もっとフラットに、もっとピュアに、向き合いたいなとは思わされましたね。」

・・・”良くない心の表れ”ってすぐに内省してるところが素直で柔らかいなと思う。物づくりをするとき、自分だけのオリジナルの物を作りたいと思うし、人に影響されたくないからあえて人の作品は見ない、触れないことはあると思う。本当に自分の中から生まれてくるオリジナルのものを作りたいと思うのはみんな同じだと思う。

 

2022年6月23日。北海道公演(帯広市民文化ホール)。

移動のためザベスさんが車の中で待ってる時、風さんが近づいてきたとたんスピーカーから完成した新曲「grace」のデモ音源が流れた。"KAZE FILMS docomo future project"のために作られたこの曲について、

「日本人って何か、基本的に自己肯定感が低いような気がしとって、自己肯定感のアップはすなわち幸福のキーでもあると思うから、ワシは。早いうちから、ていうか学生のうちからね、自分をまず愛するっていうことのヒントをちょっとでもシェアできたらなって。」

 

2022年6月29日。愛媛公演(松山市民会館)。この日の深夜午前3時のTwitter「悟り」の意味を問われ、「次のワシのフェーズの気分。今までとらわれてたものから解放されるみたいな。手放そうと思って手放せなかった感情とか心情とか、何か今までの自分の重荷になってたようなものから解放される。

実際に自分もとらわれてしまっていた感情みたいなものから「grace」を作る過程で、結構そこから自由になっていったような感覚は本当にあって、今までのもがきから、そのもがきがひとつ実を結んでまたひとつ、何か重荷だったものを手放すみたいなことがこのツアー期間中に出来てる気がする。」

 

2022年7月2日岡山公演(倉敷市民会館)。故郷でのライブ。

「全国をホームにするツアーでもあるし、いつも通りやらさしてもらいます。」

ザベスさんによく身に着けてるタオルのことを聞かれ、「元々はお姉ちゃんが美容師時代に使っとった。だから2008年くらいから存在してる。オカンの”カゼ”っていう刺繍まで入っちゃってる。で、オカンが縫い合わせてん。この長さじゃ物足らなくなってきて差をつけるためにすっごい長いのが欲しいって言ったら、、。もう穴がめちゃくちゃ開いてる。一生使います。」

 

2022年7月7日。熊本公演(熊本城ホール)。七夕の日。願い事を書くとしたら?と聞かれ、「願い事って難しいよね。マジレスするとあれですよ。”役に立てますように”ですよ。時々自分が何の役に立ってるのかがわからなくなるから、、。個人的な願いはないね。もう満たされてるよ。十分。」

ーファンからのたくさんのコメントや反応を受け取る中でいろいろと考えるのかな。

 

2022年7月9日鹿児島公演(川商ホール)。この日朝から喉の調子が良くなかった。リハーサルでもうまく声が出ず病院へ。応急処置をしてもらいこの日はなんとか無事にライブを終えた。

2022年7月10日。宮崎公演(都城市総合文化ホール)。鹿児島を出て宮崎の会場へ移動。この日風さんの顔を見て体調を心配し体温を測ると熱も少し出ていたので河津さんの判断で病院へ行き、感染症の陽性と判定されこの公演含め5公演が延期になった。

初めての、体調不良による公演当日の中止発表はつらかったと思う。ライブを行うためにたくさんの人が準備し、待ってる人がいるのを知ってるからこそしんどかったと思う。

 

2022年7月21日。広島公演(広島文化学園HBGホール)。復帰後初のライブ。

開演前スタッフへ向けて謝罪のあと、「改めてライブができることは、こんなにもありがたいことだったのかと気づかされました。」

ザベスさんから、宮崎で体調不良になり当日ライブができなくなった時の気持ちを聞かれ、「初めて、ほんと初めて”え、ライブしたいんだけど”って思っちゃった。自分にそういう気持ちがあることに驚いたし、ワシは幸いすごくたくさんの人に心配してもらえて、たくさんの人が回復を応援してくれてみたいな立場に、すごいありがたいことにおれたから、だからこそ本当に、これを多分一人で耐えとる人がいるわけだから、一人でひっそりとコロナになったり病気になったりする人がいて、、だから本当にそういう人たちの何か支えになるようなことをしないとなと。改めて。自分ができることはそれかなと。」

 

2022年7月28、29日。東京公演(昭和女子大学人見記念講堂)。

東京公演でのMC「今日は実はツアーファイナルになる予定の日でした。もうほんま、みんな、”健康第一ですよ”ってことがすごい言いたくて。本当にもう、元気でおってください。寄せ付けないくらい心も体も元気でおってほしいし、心が元気になるためにはまあいろいろあると思うけど、自分自身のことをまず自分が愛してあげてください。」

 

2022年8月14日北海道、”RISING SUN”出演。突然のお知らせ。急遽”YouTubeで生配信”を決断してくれたことは本当に嬉しかった。準備がすごく大変だったと思う。出演を引き受けた風さん、チーム風スタッフさんに感謝。最高のライブだった。

この日たくさんのカバー曲を歌った後、”きらり”で高音の声が出なくてめちゃくちゃ心配した。体調が万全ではないのかと。でもドキュメンタリーで理由を教えてくれて安心した。ーー「普段使わない声だったから次の”きらり”が枯れたのかな。カバーのほうが一生懸命になっちゃうかもね。」

どのカバーも本当にすごく良かった。特にKing Gnuの 「Vinyl」はカッコ良すぎてびっくりした。感動した。複雑なリズムのピアノと迫力のあるヴォーカル。本当にピアノがめちゃくちゃカッコよかった!!

他のアーティストの曲をカバーするときはヴォーカルも近づけるから喉への負担も大きい事があらためてわかった。

 

2022年8月21日、和歌山公演(和歌山県民文化会館)。

「待ってくださってたお客さんを目の前にすると、ただただもうその時できる自分のベストを出そうとすると、見てくれとる人の心が反映されるし、逆にワシの心が良ければそれを反映させたいと思うし、こう高めあっていきたいっすね。」

ザベスさん「その反映されるってことがまさにさ、そこがやっぱライブの醍醐味なんじゃないの。」

風さん「ああなるほど、そうかも。」「周り、、がいるからこそ背筋が伸びるし、いい人でありたいと思うのも周りがおるからやし、ライブはその究極かもしれないっすね。」

 

2022年9月5日京都公演(ロームシアター京都)。”aahT”ファイナル。

「ちょっとコンタクトはめ忘れた。マジで。スタッフさーん💦💦」

 

無事に終了したツアーファイナル京都公演後の言い訳がかわいい。コンタクトを入れ忘れてライブの途中でスタッフさんに持ってきてもらった風さん。「えーんw。いやーファイナルって緊張するね。これも含めて”日常をみせる”がテーマのツアーなので、、。」

「自分のベストをみんなに毎回毎回見てもらいたいから、自分もちゃんと人間的に成長していかんといけんなって思わせてくれる。ライブがあると。

次はより良い状態で、より良い人間としてライブしたい、みんなの前に出たいと思うし、だからライブと人間の成長みたいなのは今回は特にすごい一緒になってたというか、、。」

 

2022年9月17日~インドにて「grace」MV撮影。

2022年9月27日~10月7日、スタジアムライブのリハーサル。

 

2022年10月13日。ステージが組み上げられ華やかなライトが取り付けられていく様子が早送りで映し出される。その様子を見つめる風さんの表情を見るとどんな気持ちでこのライブに立ち向かおうとしてたのかなと想像する。怖さや覚悟、いろんな気持ちがあったんだろうなと思う。

 

2022年10月15日スタジアムライブ1日目。

河津さん「大それたことを”やろうよ”って言っちゃったなって。…まあ思ってたけど、音が出るとやっぱね、ああこれ喜んでくれる人いるだろうなと思うと、”やろうって言って良かったかもしれないな”って気持ちですよね。」

ザベスさん「風のことを考えたらっていうことは、風君と出会ったからこそひらめいたアイデアってこと、、。」

河津さん「そうそう。」「風だからできると思ったし、やろうと思ってるだけだから。俺がなんかやりたいと思ったわけじゃないよ。風がここでやったらいいんじゃないかなっていう。」

河津さん「で、それを喜ぶ人が多いだろうなっていうのと、”LOVE ALL SERVE ALL”っていうアルバムのライブをちゃんと大きいところでやりたいなっていう。

初めての場所っていいよね。みんなが一丸となるから。皆がさ努力するからさ、できない難しいこと、無理難題めちゃくちゃあるのよ。初めての会場ってどうしても。

それをみんながさ、ちょっとずつ努力してそれをクリアしようとするから、団結力めちゃくちゃ高まるんで、それが良かったと思いますよね。今。」

ライブ終了後、関西地区コンサートプロモーターの力竹聡明さんの言葉「いっぱい色んな演出したんですけど、いっぱいいろんな、みんな頑張ってやったけど、風君の存在自体がでかすぎて、彼一人で色んなもんをあんだけ背負って、でも背負ってない空気感がすごかったな。このチームはすごい。風君が出してくるオーラを超えてやろう、超えてやろうってのがすごい。勝ってやろうっていうみんなのパワーで倍増されてると思うから、このチームはすごいっす。」

風さん「普通にやったら気持ちとかに圧倒されるような場所なんで、だからもうとにかく冷静に、フラットに落ち着いてやろうと心がけてたんで。でもほんとにみんなの愛を感じて胸はいっぱいになったけど、ほんとにでもみんな一緒なんだよっていうことを、、なんか不思議な感じでしたね。ただもうみんなと一緒に同じ時間を過ごせたぐらいの感じで、それにこんなに来てくれて、ただただもう感謝の気持ちがあるだけですね。」

 

「みんな同じものの一部。なんか、海に例えたら一人ひとりが泡。泡ってプチってしたらもう海になっちゃう。それと一緒で、もう”自分が自分が”ってなってるエゴとかが強い状態がすごい硬い泡ができちゃってると思うんだけど、それをプチってつぶして一つの大きなものとひとつになったら、自分はもうほんと大きなひとつのものの一部だって思えると思うし、”みんな一緒なんや”って思うと思うし、みんな同じもんでできとるしみんな同じとこから来て同じところに流れていくんやって思える。

その海の泡の話はオトンがしてくれたんやけど、そういう考え方があって、まあそれが年々現実味を帯びて感じられるようになってる感じ。でももうこのライブ、今回のそれがすごい意識できたっていうか、、前まではまあ”自分は神様と一緒なんだ”って思いながらやってたけど、今回はほんと”みんなが神様なんだ”っていう、そっち・・・そういうふうに思いながらできた気がする。

だからほんとみんな一緒やなと思うしみんなアメイジングやし、みんなアメイジング・グレイス。」

 

ーーーそして最初の畑の場面。すべてのさつまいもを掘り終えたあと、あらためてスタジアムライブを振り返っての感想。

「ほんとでも”今までありがとう”とでも言いたくなるぐらいの、うーん、、一区切りって感じですよ。ワシはこっからどう生きていこうかなあと。この地球のために。世界のためにまだ何ができるのかなあと、考えておるところですわ。」

「地球感じながら。もうほんといつ引退しても、いつ終わってもいいぐらいにはもう、、今の気持ち。」

 

初めての有観客スタジアムライブ、音楽ライブが初のパナソニックスタジアム。芝生の心配やステージ作り、ライブの構成、凝った演出、こだわりのフードやその会場作り、グッズのスムーズな購入の仕方への工夫。たくさんのいろんな準備、配慮があって、撮影も入って、極限の状態で行う数万人規模のライブを開いてくれたことに感謝しかない。

デビューして短期間でこの規模のライブ、本当に大変だったと思う。10月半ばなのにめちゃくちゃ暑くて思い出に残る最高のライブだった。「風の秋まつり🍁」楽しかった!!

自分の好きな道に進んでる風さん。

風さんはすでにたくさんの人の力になって支えてる。歌う人になって今、みんなの前に出てきてくれてありがとう🍀 疲れたら休みながら、時々みんなの前に「元気だよ☺️」って顔を見せてくれたら嬉しい。

 

公式アプリより

(ガパオライスとチュロスを食べた。美味しかった♪)

 

*他、画像は公式YouTube、公式Instagramより